blog009:生活環境と生活習慣の改善

痛みを和らげるために〜ゼニタの想い〜

皆様、こんにちは。名古屋市の千種駅前を拠点に活動している、銭田治療院千種駅前の院長、銭田良博(ぜにたよしひろ)です。

本日は「生活環境と生活習慣の改善」というテーマで、少し難しいお話をさせていただきます。なるべくわかりやすいように噛み砕きますので、お付き合いください。

■セルフケアへのアドバイス=生活指導

我々治療家の間では「生活指導」という言葉をよく使います。この言葉の意味は「患者の痛みの悪化因子」に対し、「医師や治療家」がその原因を改善するため、「生活環境や生活習慣の改善」を促すアドバイスを提供することなのです。

つまり、患者様の痛みの原因が、患者様ご本人の生活環境や生活習慣の中にあることを患者様と共に考え、生活のスタイルを少しずつ変えることによって痛みを軽減させようという考え方です。お薬によって痛みを感じなくするのではなく、痛みそのものの原因を取り去ってしまおうということです。

日本整形内科学研究会(JNOS)学術局長で、弘前大学総合診療部の小林只医師は、「生活指導の本質は『生活環境や生活動作の困り事に対する医療者のサポートと患者自身の工夫』であり、患者自身が『事実』を受け入れ、能動的に困り事に立ち向かおうとする心情・態度・行動を尊重することが重要」と述べています。

生活指導の過程は次のように進行します。

1. 症状部位を指1本で示してもらう。
2. 症状を悪化させる動作を評価する。
3. 生活動作の中で、症状により支障が出ている内容を具体的に尋ねる。
4. その場で具体的動作を実演してもらう。
5. 患者の痛みが生じる動作を医師や治療家が精緻に模倣して演じます。
6. 速やかな治療(キュア)を行う。
7. セルフケアについてのアドバイスを提供する。
8. 痛みが生じる動作を生活の中で探してもらう。
9. 次回の治療までに、工夫できそうな動作に関して検討してもらう。

■患者様とのコミュニケーションが大切

このようにして、日常生活の中で痛みを悪化させる動作を「事実」として確認し、日頃の生活環境や生活習慣に於いてどの身体部位に負荷がかかるのかを具体的に検討します。

そして、明らかになった悪化要因(例えば中腰姿勢などの不良姿勢、椅子や机の位置関係、靴や眼鏡の選定、枕などの寝具の品質や患者との適合性、運動習慣や食習慣など)に対し、具体的な対策(例えば動作の改良、適切な道具の購入や調整など)を検討する一連のプロセスを経ることになります。


こうした生活指導は、食生活にも言及することがあり、糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣病に対する備えとしてもとても有効です。

私たち治療家と患者様とのコミュニケーションを密にすることにより、その痛みや違和感、不快感の原因を探り、生活改善により、その原因そのものを小さくしていくことは、キュア(治療)と共に大切なケア(セルフケア)の本質です。

お困りの症状がありましたら、是非ともお近くの治療院にご相談されることをお勧めいたします。「まずは相談から」ということが大切です。

次回は「それ、本当に肩こりですか?」と題して、皆様にはあまり耳馴染みのない「首こり」についてお話しします。

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