blog018:私達の身体はなぜ痛いのか(3)

痛みを和らげるために〜ゼニタの想い〜

皆様、こんにちは。名古屋市の千種駅前を拠点に活動している、銭田治療院千種駅前の院長、銭田良博(ぜにたよしひろ)です。

前回から引き続き、痛みの本質を理解することの大切さについてお話しします。痛みがどのような原因で起こっているのかを理解し、医師に診てもらうべき痛みと、医師でなくても対応できる痛みをしっかりと見極めることはとても重要です。医師に最初に診察してもらうべき痛みには、骨・筋肉・靭帯・神経・血管・リンパ・内臓が原因となる痛みがあります。

今回は、このシリーズの3回目として、リンパおよび内臓を原因とする痛みについて考えていきます。

■リンパを原因とする痛みの場合

リンパとは、血管から染み出した水分や細胞の老廃物を運ぶ液体のことであり、全身に張り巡らされたリンパ管を流れていきます。そしてリンパ管は体内に数箇所存在し、このリンパ管のネットワークの中にある拠点です。このリンパ節でリンパ液は濾過され、ウィルスなどの異物を取り除く、いわばフィルターのような役割を担っています。

このリンパ(主にはリンパ節)を原因とする痛みには、以下のような特徴的な症状があります。

◆痛みの性質
圧痛:腫れたリンパ節を押すと痛みを感じることが多い:感染症の可能性がある。
自発痛:押さなくても痛みを感じる場合がある:炎症が進行している可能性がある。
痛みを伴わない場合:悪性リンパ腫などでは、腫れがあっても痛みを伴わないことが多い。

◆痛みの部位
首(頸部):耳の下や顎の下に腫れや痛みが出る。
脇の下:腫れとともに圧痛を感じることがある。
鼠径部(足の付け根):歩行時や動作時に違和感や痛みを感じる。

また、その他の症状として、下記の3点を挙げておきます。

1 腫れとしこり
・腫れたリンパ節は小豆大からピンポン玉大まで大きさが異なり、触ると硬さや弾力を感じる。
・感染症の場合は赤く腫れて熱感を伴うこともある。

2 全身症状
・発熱、倦怠感、盗汗(激しい寝汗)、体重減少などが見られる場合がある。
・上記の症状は全身性疾患(悪性リンパ腫や感染症)が原因の場合に多い。

3 皮膚の変化
・腫れた部位の皮膚が赤くなる。
・または熱を帯びることがある。

◆主な原因
感染症:細菌やウイルス感染による炎症(例:風邪、伝染性単核球症)
悪性疾患:悪性リンパ腫や転移性がんなど
自己免疫疾患:リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)など

◆注意点
・痛みを伴わず、大きな腫れが長期間続く場合
・発熱、夜間の盗汗、体重減少などの全身症状を伴う場合

リンパ節の腫れや痛みは一時的な感染による軽度なものから、悪性疾患まで幅広い原因で発生します。特に以下の場合は早急に医療機関を受診する必要があります。また、これらの症状は早期診断と治療によって改善する可能性が高いため、早期の適切な対応が重要です。

■内臓を原因とする痛みの場合

内臓が原因の痛み、いわゆる内臓痛には以下のような特徴的な症状があります。

◆痛みの性質
・鈍痛や灼熱感として感じられる。
・波のある周期的な痛み。
・痛みの部位が明確でなく、お腹全体が何となく痛む。

◆痛みの発生メカニズム
・消化管の収縮、伸展、痙攣、拡張などによって起こる。
・内臓神経(自律神経)を介して感じる。

◆随伴症状
・吐き気や悪心
・冷や汗
・ふらつき

◆痛みの特徴
・腹部全体または上部・下部といった漠然とした範囲で感じる。
・痛みの場所がはっきりしない。

◆具体的な例
・下痢による痛み
・ウイルス性胃腸炎による痛み

◆注意点
・内臓痛は自然に治まることが多いが、症状が持続したり悪化する場合は医療機関の受診が必要。

内臓痛は、体性痛(鋭い痛みで部位が明確)とは異なり、自律神経系を介して感じる痛みであるため、痛み以外の症状も伴うことが特徴です。原因となる疾患や症状の程度によって適切な対応が必要となります。

また、心臓のように痛覚を持たない臓器に何かの異常があるときには、心臓そのものでは痛みを感じることがなく、背中や胸部、肩などに痛みを感じることがあります。少しでも異常を感じたら、専門医による診断を心がけてください。

■専門家の診療をお勧めします。

今回は、リンパを原因とする痛み、および内臓を原因とする痛みを解説いたしました。今回ここに挙げた症状が見られる場合には、専門家による治療が必要となります。

次回はこのシリーズ『私達の身体はなぜ痛いのか』の最終回として、これまでお伝えしてきた『骨・筋肉・靱帯・神経・血管・リンパ・内臓以外の痛み』についてお話しします。

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