皆様、こんにちは。株式会社ゼニタ・銭田治療院千種駅前院長で鍼灸師&理学療法士の銭田良博(ぜにたよしひろ)です。
前回の【職場環境編】では、仕事中の姿勢や動作が肘の痛みを引き起こす原因になりうることをご紹介しました。
今回はその続編、「肘痛に対する生活指導その2:生活住環境編〜自宅の中にも肘への負担は潜んでいる〜」として、自宅での「生活住環境」に焦点を当ててお届けします。
実は、毎日の家事や日常動作、家具の配置などが、気づかないうちに肘関節にストレスを与えていることがあり、何気ない習慣が、肘の痛みにつながっている可能性もあるのです。本記事では、そうした家庭内での見落としがちなリスクに着目し、肘痛予防のために今すぐできる改善ポイントをわかりやすく解説していきます。
■なぜ家庭内でも肘痛が起こるのか?
肘関節は、「曲げ伸ばし」や「回旋(ひねり)」など、日常的に多くの動作で使われている部位です。そのため、ご自宅での家事・育児・趣味の中にも、肘に慢性的な負担をかけてしまう行動が数多く存在します。ちょっとした動作の積み重ねが、知らないうちに肘の痛みにつながっていることもあるのです。
■こんな日常動作にご注意!
以下のようなごく普通の家庭内動作が、実は肘痛を引き起こす原因になることがあります。
- 重いフライパンを長時間持ち続ける調理動作
- 窓拭きや雑巾がけなどの繰り返し動作
- 肘をついた姿勢でのスマホ・タブレット操作
- 高い棚や低い収納からの頻繁な出し入れ
- フライパンの柄を持ち上げたまま調理するのは、手首から肘にかけて大きな負担となります。
- 同じ筋肉を酷使し続けることで、筋疲労が蓄積しやすくなり、炎症に繋がります。
- 体重が肘に集中し、長時間その姿勢が続くと関節への圧迫が慢性化します。
- 腕を上げ下げするたびに、肘から肩にかけての筋肉・関節に過剰なストレスがかかります。
肘痛の背景には、こうした「何気ない日常動作」が隠れていることが少なくありません。まずは自宅での動作や環境を見直すことが、肘痛予防の第一歩です。
■ゼニタ式・肘痛予防の生活指導(生活住環境編)
日常の何気ない動作が、肘に負担をかけている可能性を減らすため、家庭内での肘痛を予防するためのポイントを3つの場面に分けてご紹介します。
1. キッチンの作業環境を見直しましょう
- 作業台の高さに注意
- 重い調理器具は取り出しやすく
- 洗い物は両手でバランスよく
- 理想的な作業台の高さは「腰と肘の中間あたり」です。
- 重い鍋などは低すぎる収納を避け、スライド式収納や昇降式シェルフを活用しましょう。
- 片手だけを使い続けると肘に過度な負担がかかります。できるだけ両手を使う工夫を。
2. 家事動作に工夫と補助具の活用を
- 掃除や雑巾がけは交互の手で
- 肘サポーターを家庭内でも活用
- 調理器具のグリップを太くする
- 同じ手での繰り返し動作は肘関節の炎症を引き起こす原因になります。利き手と逆の手を交互に使いましょう。
- 肘に負担がかかりやすい時間帯や作業前に肘サポーターを事前装着することで、負担軽減・予防効果が期待できます。
- 細いグリップは手や前腕に過剰な力を入れてしまいます。太めのグリップ、または市販のグリップカバーを活用しましょう。
3. リビング・寝室でも「肘」を意識
- 「肘をついて見る」はNG習慣
- 就寝時の肘の曲がりに注意
- 重い荷物は片手で持たない
- 読書やスマホを肘を立てて見る姿勢は、肘への圧迫ストレスに。クッションなどを使って肘をサポートしましょう。
- 慢性的な痛みのある方は、夜間の肘の姿勢も重要です。必要に応じて医療者に相談し、固定用スプリントの使用も検討を。
- 買い物袋などを片手で長時間持つと「テニス肘」の原因に。両手持ち+リュック型バッグの併用がおすすめです。
■肘の痛みは『暮らし方』の見直しで予防できます
肘の関節は、肩や手首に比べると意識されにくい存在ですが、実は日常のあらゆる動作で働いている大切な関節です。そして、家庭内での何気ない動作の「小さな積み重ね」が、やがて大きな負担となり、肘の痛みを引き起こす原因になることがあります。
銭田治療院では、整形外科的リハビリテーションの知見に基づき、住環境へのアドバイスや福祉用具の導入提案も積極的に行っています。
▶福祉用具・生活サポートのご相談はこちらから
ぜにた福祉用具 販売・貸与部門が、肘にやさしい生活環境づくりをお手伝いします。リンク先にお問い合わせフォームをご用意しています。お気軽にご相談ください。
次回は「肘痛に対する生活指導その3:スポーツ編」をお届けする予定です。どうぞお楽しみに!